子どもの志を養う「ノブレス・オブリージュ」の精神
「ノブレス・オブリージュ」について
「ノブレス・オブリージュ」というのは、フランス語の noblesse oblige のカタカナ表記です。
「高貴なる者の使命」とでも訳したらいいのでしょうか。最近は、日本語にしないで使われることも多い言葉です。
これは「尊敬に値する立場の人は、それに相応しい品性、教養、良識を備え、社会に進んで貢献する」という意味です。
そのエッセンスは、日本の武士道精神やヨーロッパの騎士道精神にも通じています。
イギリスで培われた道徳感
そういう人々は、普通の人々よりも厳しい道徳観、倫理観をもって普通の人々、庶民を守り、助けなければならないということです。
これは、ヨーロッパの長い歴史のなかで培われた、道徳的感覚です。
貴族制度や階級社会が残るイギリスでは、上流階層にはノブレス・オブリージュの考えが浸透しており、第一次世界大戦で貴族の子弟は、皆志願して従軍しました。
貴族に戦死者が多かったのはこのためだと言われています。実際の話、貴族将校の死傷率は、一般兵卒のそれを遙かに上回ったそうです。突撃の際には、必ず先頭に立つからです。
日本でも「武士道」と呼ばれる精神世界を創造
かつて江戸時代の日本の武士もまさに「ノブレス・オブリージュ」を身を以って示し、「武士道」なる崇高な精神世界を創造しました。
日本の昔の名主や領主の家系でも、そういう道徳観が守り続けられたようです。
ひとつの例では、明治時代に足尾鉱毒事件という社会問題に係わって自分の全財産を使い果たし、命までも捧げた田中正造という人のことをご存知でしょうか。
他にも、ある村長さんが自分の村の人々の命を助けるために財産を全部使って、川に橋を架けたという話などがあります。
「ノブレス・オブリージュ」が子どもの志につながる
人間は、元来高貴な精神をもっているのだという自覚が大事です。
全体のために役に立ちたいという考えは、本来人間の3大欲求の1つである集団欲求から起こる強い気持ちです。
持っている力を世のため人のために使うことが人間の本能であり、ノブレス・オブリージュということですね!
子どもの心に灯をともして「自分は人の役に立つことができるんだ、価値があるんだ、そのために学んでいるんだ」という志を育ててあげましょう!
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